派遣ってすごいんだぜ、未経験の若輩者でも産科の病棟クラークになれるんだから。
こんにちは、福森です。
アンチナタリスト疑惑
アンチナタリズム(反出生主義)とは……
生殖を非倫理的と位置づける見解である。一見幸福な人も苦痛や死は免れない上に環境破壊・資源枯渇などで人類の繁栄も永続しそうにないため、将来世代の苦痛の予防として子孫を残すべきでない、という主張。
反出生主義 – Wikipedia
派遣就業前から、福森にはアンチナタリストのきらいがややありました。
でも面白そうだったのと、早く収入が欲しかったので働くことを決めました。
福森が産科で働いて見たこと、知ったこと、思ったことをまとめます。
業務内容
福森がしていた病棟クラークという仕事は、いうなれば事務員です。外来ではなく、病棟での事務員。
業務内容としては、
・入退院患者の対応(受付や会計など)
・レセプト作成、請求業務
・カルテ管理
・電話対応、諸雑務
などが主です。
ナースステーションのすぐ近く、新生児室の真横でパソコンをぱちぱち。
ふえ~、んや~と泣き声が聞こえて、看護師さんや看護助手さんが忙しそうだったら、クラークがベビーの様子を見に行く。
抱っこする。ほっぺたをぷにぷにして癒されたりもする。たまにおむつ替えもする。
そんな感じでした。
現場
会計表を作成するクラークの目の前を、担架と救急隊員が足早に駆けていきます。
うちより大きな大学病院に搬送するのです。
救急搬送の理由は様々です。
子宮破裂、重症妊娠高血圧症候群、切迫早産などなど。
担架の上に透明な箱が置いてあるときは、ベビーの搬送です。
ベビーの救急搬送の理由としては、呼吸障害、早産・低出生体重児(高度な全身管理が必要な場合)、先天性の疾患などなど。
他にも理由は様々です。
普段は朗らかでおしゃべり好きな看護師さんたちも、こういう時は顔つきが変わります。尊敬ですね。
現場……
福森がいた病院、いた時期には、麻酔を使った無痛分娩が主流でした。というかそれが売り。
なので、うちで出産を希望するママさんの7~8割は無痛分娩を希望していました。
麻酔を入れるのは、陣痛が起きてからしばらくした後です。子宮口の開き具合やママさんのメンタルによって対応は変わりますが。
なので、陣痛は痛いです。
また、麻酔って無敵ではないので、お産って急に進むこともあるので、「無痛……?」となるママさんも割といた印象です。
クラークから遠く離れた分娩室から、大絶叫が聞こえます。
あれ、あのママさんも無痛分娩を希望していたような。
隣の陣痛室には、昨日の夜中に来院したママさんがいます。
陣痛の間隔が短くなって、来院して、5時間。それでも子宮口は全然開きません。
増え続ける促進剤。それすなわち増え続ける自費計上。このままだともっと高価で強力な促進剤か、緊急帝王切開か。
現場…………
今日から入院のママさんのカルテを開いて、入院対応に必要な情報を集めます。
保険証の情報を印刷したり、出生届に記入する名前の漢字を確認したり。
この方は7回目の妊娠。初産婦さんです。
4回の流産、1回の子宮外妊娠、1回の人工中絶。
今回は無事37週まで育ったようです。お産が安全に進みますように。
分娩室から、顔を押さえて泣きながら歩いてくるママさんと、それを支える看護師さん。
ママさんのカルテを見ると、
妊娠40週、胎動の減少により来院。胎児胎内死亡確認
との記載。
パパさんが看護師さんに詰め寄っています。気持ちのやり場がないことは、看護師さんも理解しているようでした。
後日、埋葬の話をしに行くのはクラークの仕事でした。
現場ァ
「旦那さん大丈夫!?」「ご主人しっかり!」
何事や、とカルテを見ると、どうやら出産の立ち合いで、苦手な血を見て気絶してしまったようでした。
また、出産時、ベビーはすぐに産声をあげるわけではありません。鼻や口に入っている羊水を吸い出して、
刺激してあげて、初めてんあ~と泣き出します。
羊水、胎便、尿、血液。現場は……現場です。
就業2日目に福森は泣いた
自分と違う価値観のヒトがこんなにも多くて。無垢なべビーがこんなにもいて。
ヒトをつくるって? 産むって?
現場を見て、知って、アンチナタリスト疑惑の福森は何を感じて何を考えたのか。
ベビーのあくびと人生開始ボタン – 後編 に続きます。